金属アレルギーなOLの業務外報告

全てのストレスを受け流し、気ままにゆるく生きる意識低めなOLの雑記。

左右対称への異様なまでの執着【シンメトリー】著者:誉田哲也

ストロベリーナイト】から始まる姫川玲子シリーズの第三弾。

ここへ来て、急に短編集。こういうショートな展開も意外とよい。姫川警部補、色々思いつつやはり好きである。

 【シンメトリー】著者:誉田哲也

短編が7作品収録されている。

読む前に文庫本をつまみ上げ、『7作品も入ってる割には薄くね?』と思ったりもしたのだが、これはこれで意外と良かった。

このシリーズの長編作品は例えるなら、連日ワイドショーで報道されるような凄惨な事件にスポットライトをあてている。そして本作のような短編は、それ以外の日常にありふれた些細な(と言うと語弊があるが)事件にスポットライトをあてている。そんな感じがする。

美しいシンメトリーをご堪能あれ。

 1.東京

姫川警部補が、まだ本庁の警部補になる前のお話。

品川署、強行犯係。巡査刑事、姫川玲子25歳。

事件は品川所管轄内、高校、屋上のプールでおこる。

死亡したのは栗原知世、水泳部部員。15歳の一年生。

夏休みの練習日、部活後に転落死した。目撃者は無し。

柵の高さは約1.2メートル。指紋は不自然の向きのものが1つのみ。その他足跡など痕跡は一切なし。事故か自殺か?それとも殺人か??

知世の転落の真相と、少し悲しい真実が明かされる。

2.過ぎた正義

姫川は、川越少年刑務所を訪ねようとしていた。駅からの道のりは、徒歩で20分ほど。

あの男なら、どのルートを辿るのか。そんなことを考えながら、うんざりする日差しに炙られて、今日も道を辿る。

【天の裁きがないのなら、一体誰が裁いたのかと、つい考えたくもなるというもんじゃろう】

國奥の言葉が蘇る。

少年法、精神鑑定。何かと理由をつけて、その罪は軽くなる。

刑事の正義はどこへ向かうのか? 少年の罪を裁くのは誰…!?

3.右では殴らない

姫川さん、やっぱり好きだなぁ…と思わされる一作。

劇症肝炎で亡くなった遺体から、覚醒剤が検出された。同じ条件の遺体が、都内で他にも発見される。仮に中毒よりも先に劇症肝炎を引き起こすような新種の薬物が存在するとしたら、大変な事態だ。

國奥の考察を念頭に捜査を開始した姫川は、一人の女子高生に行き当たる。

社会とは、法律とはなんなのか。

当たり前のようにそこにある、秩序とは―― 

4.シンメトリー

表題にもなっている本書のメイン作。

JRで起こった、列車の脱線事故。

十両編成の、前から四両目。それが斜め、上り下りの両線にまたがる状態で停止している。左右は切り立ったコンクリートの壁。少し先には陸橋。線路は周りの土地よりもだいぶ低い、溝のような場所を通っている。しかしその溝を、四両目が塞ぐ形で停まっている。 

駅員が見たその光景を、私にはやけにリアルに連想した。その場所が、すぐに思い浮かんだからだ。同じ情景を、私は知っている。北区某所。馴染みのある線路だった。

事件はいつも、少し悲しい。

それでも姫川は、犯人を追い詰める。刑事として、犯人を捕まえる。

5.左だけ見た場合

板橋区のアパートにて、手品師の男が殺された。吉原秀一、48歳。

死因は胸部、腹部、背中を計9ヶ所刺されての外傷性ショック死。内一つは心臓に達しているので、これが致命傷になったと考えられる。

現場には、害者の折りたたみ式ケータイ電話が転がっていた。それには045、666と入力されていた。これは主に、横浜市の中区で使用されている番号だが…?

姫川たちはケータイのメモリーに登録されている人物たちを虱潰しにあたっていく。

周囲から超能力者だと思われていた、吉原の死の真相とは??

6.悪しき実

北区のアパートにて、男が死んでいる。そう110番通報してきた住民の女が消えた。

警官が現場に駆けつけると、通報通り部屋には遺体があった。首にはロープが巻かれていた。

監察医の話では、ロープはぐるっと首の周りを一周して、喉の前で前で捻って交差しているので、自分でやろうと思えばできる絞め方だし、誰かがやったというのなら、そういう風にも見えると言う…。

消えた女を見つけ出し、署に連行すると、『亭主を殺した』と彼女は言った。しかし彼女の戸籍は独身だった。彼女が背負おうとした罪は、一体何なのか??

7.手紙

姫川が、捜査一課に異動するキッカケになった事件。

目黒区の公園で、40代のOLが刺殺体で発見された。彼女は個人で周囲の男に金を貸し付けており、返済できない相手には肉体関係を迫っていたという。

捜査をしていく中で、彼女がインターネットのあるサイトに頻繁にアクセスしていたことが判明する。そのサイトで、彼女は一体何をしていたのか?彼女との死との関係は??

短編集【シンメトリー】のまとめ

 『ストロベリーナイト』から始まる姫川玲子シリーズ初の短編集だった本作。

日常に近い部分から、姫川玲子の人となりが垣間見える一冊となっている。端的に言ってしまうと、姫川玲子への高感度が上がる作品集だ。

彼女がどういう考えで事件を追い、犯人と向き合っているのか。

長編作品では見えなかった部分を垣間見ることができで、興味深く読むことができた。

短編だからって読み飛ばさなくて良かったw

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

*関連(しない時もある)記事*

【おすすめ】バトルロイヤル・ゼロサムゲームの物語【漫画・アニメ・小説・映画】

奪い合い・殺し合いも気軽に楽しめるのがフィクションの良い所だと思います。人からはあまり理解されないですが…。

私はゲームが大好きなので、ゲーム要素の強いものに強くのめり込む傾向があります。

娯楽として気軽に愉しんで見て(観て)欲しいな、と。あくまでも、フィクションなのですから。

奪い合う物語~バトルロイヤル・ゼロサムゲーム~

バトルロイヤルとは、プロレスの試合形式。3人以上で戦って自分以外は全て敵。勝ち残った人が勝者となるもの。

ゼロサムゲームとは、全員の利得の総和が常にゼロになること。つまり、限られた利得を奪い合うゲーム。誰かが得をすれば、必ず誰かが同じだけ損をする仕組み。

ワタシの主観で、これらの要素を含むと思われる物語をピックアップします。お暇な時の娯楽にどうぞ。

1.【漫画】ダーウィンズゲーム

 現在進行系でハマっているのがこちら。思いっきりゲーム要素。てかゲーム。

平凡な高校生だったカナメは、ある日『ダーウィンズゲーム』というアプリの招待を親友から受けて起動してしまう。このゲームは各プレイヤーに異能(シギル)と呼ばれる様々な超能力が与えられ、他のプレイヤーと命懸けで戦うことを強制される異能者たちのバトルゲームであった。最悪死ぬこともありえるため、ゲームをやめたいと思ったカナメは、同じプレイヤーのシュカからゲームからリタイアする方法を聞き出そうとするが、一度始めたら絶対にやめられないという事実を知り、愕然とする。

そんな中、カナメはイベント『宝探しゲーム』をクリアし、直後にGMからかかってきた電話で、クリアかシステムの破壊によってゲームをやめることができることを知る。かくしてカナメはクラン【サンセットレーベンズ】を結成し、ゲームのクリアを目指す。

ウィキペディア【ダーウィンズゲーム】より

スマホのアプリゲームがリアルに侵食してくる現代特有の設定です。

各キャラクターに1つずつ、特殊能力が与えられているバトルゲーム。仕組みは単純ですが、これをリアルでやるってなると色んな事情が絡んできます。

突然強制参加のイベントとか始まっちゃうのが地味にリアルw

個人的には『無敗の女王』と呼ばれるシュカちゃんが好き。可愛いのに強すぎ(王道)。

まだ連載中なので続きを待ち望んでいます。

2.【漫画】今際の国のアリス

完結した時はホッとした。なんとなく…。

理不尽な「げぇむ」を生き延びろ!

やりきれない日常に苛立つ高校生・有栖(アリス)良平が悪友の苅部(カルベ)や張太(チョータ)とブラつく夜、街は突然巨大な花火に包まれ、気づけば周囲の人気は消えていた。
夜、ふらりと入った神社で告げられる「げぇむ」の始まり。一歩誤れば命が奪われる理不尽な難題の数々を前に、アリスの眠っていた能力が目覚め始める… 「呪法解禁!!ハイド&クローサー」の麻生羽呂が全くスタイルを変えて挑む戦慄のサバイバル・サスペンス、開幕!

 こちらも『命懸けのリアルゲーム』に強制参加させられる系です。

ゲームのタイプはトランプに因んで4種類。

♠スペード♠=肉体型

♣クラブ♣=バランス型

♦ダイヤ♦=知能型

♥ハート♥=心理型

どれに当たっても命懸けではあるものの、やはり心理型が一番エグいですね(個人の感想)。

そしてトランプの数字はゲームの難易度を表すのですが、数字が大きくて難易度の高いゲームをクリアすれば、その数字に応じた日数の『びざ』が発行されます。

数字1=寿命1日

『ぷれいやぁ』は『びざ』がきれる前に次のゲームに参加し、自分の寿命を稼いでいく。ゲームから逃げて『びざ』がきれたらその瞬間即死。

登場人物たちは心休まる暇が全然ないので、読者も読みながら一緒に疲れますww

スピンオフ作品として【今際の路のアリス】もありますが、やはり【今際の国のアリス】の方が面白い。

3.【漫画】BTOOOM!

自宅で日々オンラインゲーム「BTOOOM!」に没頭していた坂本竜太は、世界ランキング10位の日本人プレイヤー「SAKAMOTO」として注目される存在で、運営会社ティラノスのデバッグをしていた。定職に就かず、引きこもり同然の彼を持て余した母親は、ティラノスから送られた用紙に息子の名前を書いて、自らは自殺未遂を図る。

ある日竜太は、南海の孤島のジャングルで目を覚ます。そこにいる理由も分からぬまま、竜太は同じく島へ連れ去られて来た人々との、効果の異なる8種類の爆弾「BIM」を駆使した、リアル版「BTOOOM!」による殺し合いを強いられることになる。各プレイヤーの左手に移植された「8つのICチップ」を奪うことでゲームクリアを目指すルールにより、32人のプレイヤーのうち最大4人しか生還できない熾烈なゲームであった。

ウィキペディア【BTOOOM!】より

武器に銃の類は一切なし。様々なタイプの爆弾を駆使してプレイする、オンラインゲーム『BTOOOM!』。そのプレイに熱中していた引きこもりが、突如孤島へ拉致られ、リアルゲームをやらされるお話。

オンラインでイキってるダメニートがリアルゲームで成長していくあるあるなパターンなんだけど面白い。わかっちゃいるけど面白い。

リアルボンバーマン。ボンバーマン懐かしいよね。小学生の頃めっちゃハマったもん。

アニメ化してるのは知らなかった…。まさかのHuluで配信しているので見なくては。

4.【漫画】DEAD Tube -デッドチューブ-

 業得学園2年生の町谷智浩は、ある日同学年の美少女真城舞に「自分を撮ってほしい」と持ちかけられたことをきっかけに謎の動画投稿サイト「DEAD Tube」に巻き込まれてゆく。「視聴数を稼ぐためならどんなことでもしてよい」というDEAD Tubeに成り行きで関わっていくうち、智浩自身も異常な性癖をあらわすようになっていき、周辺で凄惨な事件が次々と起きていく。

ウィキペディア【DEAD Tube -デッドチューブ-】より

You Tubeを彷彿とさせる、あまりにもイマドキの漫画。視聴数を稼ぐために、撮影内容がどんどんエスカレートしていく。

事件は凄惨なんだけど、意外と軽やかに書かれていてアッサリ読める。

血みどろの割に、シリアスさはない。

5.【映画】バトル・ロワイアル

Amazonプライム会員の人は無料で観れるのでおすすめ。

ワタクシ、世代なもので。知る人ぞ知る定番のやつ(と、私は思っている)。小説もありますが、私は映画から入りました。公開された時は中学生だったので、とてもハマった記憶が…。

キャッチコピーは【ねぇ、友達殺したことある?

極東の全体主義国家「大東亜共和国」では、全国の中学3年生のクラスから毎年50クラスを無作為に選び出し、「プログラム」と称する殺人ゲームを実施していた。プログラムに選ばれた生徒たちはゲームのために確保されたエリアに集団で送り込まれ、生き残りが一人になるまで殺し合いを続けることを強要されるのだった。
西暦1997年、主人公の七原秋也のクラスである香川県城岩町立城岩中学3年B組がプログラムの対象に選ばれた。クラスの42人は修学旅行のバスの中で眠らされ、ゲームの舞台となる島「沖木島」へ送り込まれた。生徒たちの中には、ゲームへの参加を止めるよう働きかけようとする者、状況に絶望して自殺する者、仲間を募って協同で防衛を試みる者なども現れたが、状況を受け入れてクラスメートたちの殺戮に走る生徒もおり、生存者は刻一刻と減っていく。
七原は幼馴染が想いを寄せていた女子生徒の中川典子を助け、危ない所を最近クラスに転校して来た川田章吾に助けられ、意気投合してゲームからの脱出を模索することとなる。

Wikipediaより引用

 

『そこで今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます。』

 

ビートたけしさんのこのセリフ、当時のワタシには物凄いインパクトでした。彼の演技、好き過ぎ。作る映画も面白いし、エンターテイメントの才能が眩しすぎます。

ちなみにワタシはこの映画で、初めて柴咲コウさんに出会って惚れました。役は相馬光子。喜々として殺し合いに参加する側なのですが、友人の首を鎌で掻き切るシーンが今でも脳裏に焼き付いていますww

それからもう一人良かったのが栗山千明さん。役は千草貴子。積極的に殺し合いに参加することなく、黙々とランニング。しかし襲ってくる同級生には容赦ない。光子と殺り合うシーンもありとても良かったです。

美人で気の強い女性がタイプのワタシにはとてもトキメク映画でした。

6.【小説】王様ゲーム

ある日、高校1年生のクラス32名全員の携帯電話に“王様”からメールが届いた。内容は「クラスメイトの浩文と美奈子がキスをしろ」。最初はみんな面白半分だったが、命令は次第にエスエレートし、クラスメイトが1人、また1人と死んでいく…ついには、命がけのゲームが始まった。

懐かしすぎるケータイ小説。ガラケー時代に散々ハマって読んだ記憶が…。

そしてシリーズが結構長いので、途中で小さい画面で読むのに疲れて紙本を買いました。

ケータイ小説が書籍化されてるのは知ってたんだけど…。マンガ化や実写映画化もされてるのは知らなかったです。そしてアニメ化までしてるのですね。しかも最近…?何気に息長いなぁ。

小説が苦手な人は▲漫画▲もありますが、個人的にはやはり小説がおすすめ。漫画だと展開が早すぎますからね。

こういうのは時間を掛けて、ジワジワ追い詰められるのがおもしろポイントだと思うのです。(๑•̀ㅂ•́)و✧

7.【小説】クリムゾンの迷宮

火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された。死を賭した戦慄のゼロサムゲーム。一方的に送られてくるメッセージ。生き抜くためにどのアイテムを選ぶのか。自らの選択が明日の運命を決める―! 

くっっっそ面白い小説w 初めて読む人が羨ましいくらい。 

ゼロサム系の小説ならイチオシはこれ。

手に汗握りたい人はとりあえず読んでほしい。

8.【小説】奴隷区 僕と23人の奴隷

どんな内容でも、勝負をして負かしたら相手を服従させられる―他人を奴隷にできる機械を手に入れた24人の男女が、色欲、金、復讐…様々な目的のために勝負を繰り返し、互いを服従させていく。壮絶な騙し合いの果てに笑うのは…新感覚の大人気サバイバルミステリー、文庫シリーズ刊行開始!

これもケータイ小説だった。昔ハマって読んだなぁ。ガラケー時代はやたらとケータイ小説読んでた感。

結末知ってるので今更コミック読む気にはなれないけど。なんと2018.4月~アニメがスタートするらしい。びっくり。観ようかな…。

▼公式サイト▼

doreiku-anime.com

バトルロイヤル・ゼロサムゲームの物語まとめ

ブログ書くのって思わぬ情報に行き当たるから面白い。

現実は平和が一番、娯楽でゲームを楽しむ。そんな人生です。

また何か思い出したら追記します。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

*関連(しない時もある)記事*

複雑に絡み合う幻想と不条理【魍魎の匣】著者:京極夏彦

京極夏彦さんの『百鬼夜行シリーズ』第二弾。今回もとてもよい。(●´ω`●)

2018年、一番ハマっている小説これかもしれない。

シリーズ第一弾についてはこちら>>姑獲鳥の夏(著者:京極夏彦)は、ミステリー?怪奇小説?? - 金属アレルギーなOLの業務外報告

 【魍魎の匣】著者:京極夏彦

前回の記事で『木場修が意外と好き』というようなことを書いた気がする。

まさかのまさか。今作は木場修から始まった。彼の身の回りで何かが起きるようである。

「加菜子を――死なせはしません」。加害者の姉は決然(きっぱり)と言った。その言葉が刑事・木場を異形の研究所へと導く。中央線武蔵小金井駅で発生した美少女転落事故と連続バラバラ殺人事件に接点はあるのか? 研究所長の美馬坂とは何者か? しかし、深まる謎をよそに加菜子は衆人環境のなか忽然と姿を消した!

1000ページ超えの超大作なので、分冊版しか無理です! 上・中・下巻の3冊に別れています。

非常に面白い。あまりにも面白い(語彙力)。面白すぎて睡眠削りまくって読みました。京極夏彦さんに恋してしまいそうです。京極堂さんには既に恋しています。

事件の奇怪さと、事件を取り巻く様々な人達。目が離せません。

【魍魎の匣】あらすじと登場人物

小説において、偶然は起こり得ない。物語のため、しいては読者のために作者が準備した、必然しかありえない。

美少女がホームから転落する事故、連続して見つかる四肢バラバラ遺体、箱を信仰する霊能者、見るからに怪しい研究所、そこに届く脅迫状。そして、関口巽の前に現れた、若き文士。

それらは偶然か、必然か。散らばったピースは、果たして1枚の絵になり得るのか??

神主兼古本屋店主・中禅寺秋彦(通称:京極堂)

まるで安楽椅子探偵だなぁと思っていた矢先、関口君も同じような感想を述べていた。

曰く、京極堂さんの場合は『座敷探偵』とのこと。確かに、和室に着物が似合うイメージ。

しかしこの男の場合、推理したところで語らなかったり、詭弁で煙に巻いたりする方が好きなようだから探偵には向かない。

とのことだ。

しかしこのシリーズの1番の見どころは、やはり京極堂さんの【詭弁】にあると思う。みんなが彼の【詭弁】を聞くために、情報を持ってやってくる。

情報が集まってこなければ、安楽椅子探偵は成り立たないのである。

元うつ病の文士・関口巽(通称:関)

前作、【姑獲鳥の夏】を読んだときよりも、好感度が上がった関口君。好感というか、共感と言うべきか。

視点や思想が、読者とリンクしやすい(私だけ??)。

個人的には是非とも、関口先生の幻想(不条理?)小説を読みたい。とても興味がある。【姑獲鳥の夏】の読者として、ひとまず【目眩】を読ませて欲しい。

人と人とは本当の意味でのコミュニケーションなど取り得ないのだ。言葉など通じない。況てや気持ちなど通ずる訳がない。

現実は人の意識の数だけある。百人の人間には百種の、千人の人間には千種の現実があり、それはそれぞれ、全部違うのだ。

自分以外を否定すれば孤立する。そして、自分を否定してしまったら――それは、私が誰より善く知っている。

それもまた、一つの現実。

関口君に、清き一票を投じたい。

刑事・木場修太郎(通称:木場修)

今回ずぶずぶと事件に足を突っ込むのは彼である。君は関口君か!と、ツッコミを入れたくなるほどに。

木場修、意外と普通の男だったな…というのが今回の感想。

探偵・榎木津礼二郎(通称:榎さん)

職業が探偵なのは、ホントはこっちww【薔薇十字探偵社】という、いかにもキラついた探偵事務所を営業している愉快な彼。

探偵業はかなりテキトー。京極堂さん曰く、他人の過去を垣間見る男。

私は今回、少々榎さん不足です。もっと出番欲しかった―!

京極堂さんとは違う意味で好きなのです。

事件が起こりすぎて翻弄される

1000ページ超えの大作ですから、次から次へと様々な事件が起こります。

無関係のような、どことなく繋がっているような…。

現実が複雑なのか、自身の思考が複雑たらしめているのか。

頭を抱えながら、怪奇ミステリーを楽しめば良いのです。最高です。

越えてはいけない境界が、そこにはある。

アニメ版【魍魎の匣】

とても気になっているアニメ版。実はHuluで全話(全13話)観れるのです!

何を躊躇っているのかと申しますと、キャラクターデザインがCLAMPなのですよね…。いや、嫌いなわけじゃないのですが、魍魎の匣に関しては、ちょっとイメージが違うかなーって…。

特に京極堂さんと関口君が。最も重要な二人が…!

以下、日テレの公式サイト。

個人的にはこの二人、もう少し線が細いイメージなのですが…。

でももうずっと気になっているので、そのうち我慢できずに観ると思います(笑)

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

*関連(しない時もある)記事*

一人の時に読むと震えるホラー小説【残穢】著者:小野不由美

読んでみたら想像以上にガチだった…。さすが小野不由美さん、怖い…( ;∀;)

読んでる途中で何回か鳥肌立ちました。

賃貸住まいの一人暮らしOLが読むには怖すぎる【残穢】

何故って、件(くだん)の物件が、働く女性が一人暮らししている部屋から始まるからです( ;∀;) うち、和室なくて良かったー!

 この家は、どこか可怪しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が…。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、”ここ”でむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが――山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!

恐怖ポイント1.実話か?作り話か?リアル過ぎてよくわからない!

何が怖いって、この小説、フィクションなのかノンフィクションなのかがハッキリしないのです。あるいはその両方だとして、その境目がどこなのかがまるでわかりません。

だって主人公は、【昔ティーン向けの文庫レーベルに、ホラーのシリーズを持っていた小説家の《私》】ですよ。しかも夫も小説家で、京都在住。

そんな《私》が、読者から怪異の体験記を手紙で貰うところから物語がスタートし、当該読者と共に少しずつ調査に乗り出していくのです。

読みながら、『これって…アナタの事ですよねぇ!?』と、作者の小野不由美さんに何度も聞きたくなります。

そして、【同じく小説家で、《私》よりも懐疑的な夫】が出てるく度に、『これって…綾辻行人さんですか!?』と、何度も聞きたくなりますww(読みながら1人で何度も心の中で聞いていた)

これは本書において、ホラー要素以外に楽しめるポイントでもあります。

実在する怪異に関する物書きさんたちも何名か登場し、時には調査に協力してくれたりもします。実話?実話なの??

 恐怖ポイント2.語り部の《私》が妙に冷静で生々しく、怪異に懐疑的

やっぱりこれは実話で、小野不由美さんが自身の経験や考察を綴っているのではないか…??と、疑いたくなるくらい、作中の《私》は様々なことを分析して語っています。

【突然おばけが出てきて、きゃー!と驚いて逃げて、行方不明者や変死体が出てきて、呪いに怯える】なんて、そんな単純な話じゃなくて。

全ては気のせいと言ってしまえば気のせいで片付くような、些細な出来事の積み重ねだったりする。考え過ぎと言えば考えすぎだし、偶然が続いただけと言えばそんなような気もする。だけど時間をかけて(数年単位)、調査範囲を広げていくうちに、偶然と言い捨てて無視できないような事実がいくつも出てきて、元々は半信半疑だった当事者の久保さんの思考が、じわじわと追い詰められる。

この無視できない偶然の重なりが、気味の悪さを一層引き立てる。1つ1つは些細に思えるような出来事が、1つ、また1つと重なる度に、ぞわりと鳥肌が立つ。

この本、確かに部屋に置いておきたくない…( ;∀;)

【根拠なき不吉なもの=穢れ】を集めたような、いや〜な一冊です。

恐怖の根源は、触穢(そくえ)と延喜式(えんぎしき)

「祟り…ですよね」

祟りと言うより、障(さわ)りと呼ぶべきなのかもしれない。美佐緒に殺された子供たちは、当の美佐緒に復讐しようという意図はなかったのはもちろん、そのほかの人々に禍(わざわい)をなそうと意図していたとも思われない。むしろ、子供たちの不幸な死は穢れのようなものであり、高野トシヱはその穢れに触れた、と考えた方が実情には合う。

【残穢】P236より

穢れとは、出産・月経・死などによって発生し、特に死による穢れは、死穢といって重大視されてきた。仏教における不浄とは、自己の内面に普遍的に存在するのに対し、穢れは他者の外面に限定的に存在する。あくまでも外面的なものなので、時間が経てば消滅するし、祓い落とすことも可能だ。

そして日本には、触穢という考え方がある。穢れに触れると、伝染するというのだ。そのため穢れは隔離せねばならず、接触を忌避する。特に死穢は、死者の家族や血縁親族を汚染するとされた。

平安時代に編纂された法令集の延喜式には、甲乙丙丁の展転があり、これを見ると、穢れがどのように伝染するのかよくわかる。本書内ではそれが、現代風にわかりやすく説明されている。

つまり、仮に、太郎の家に死穢が発生したとする。このとき、次郎が太郎の家に着座すると、次郎のみならず次郎の家もまた死穢によって汚染される。この次郎の家に三郎が着座すると、三郎もまた死穢に汚染されることになるのだが、この汚染が三郎の家に持ち帰られることはない。ただし、すでに汚染されている次郎が三郎の家に赴いて着座すると、三郎の家も汚染されることになる。しかしながら、四郎が三郎の家で着座しても、四郎が汚染されることはない。死穢はここで伝染力を失う。

【残穢】P239より

 遥か平安の時代からこのような規定があったことには驚きである。確かにこれなら、”一定期間喪に服す”というのも納得できる。その上、長い時間が経過してもこの風習が残っているということは、あながち間違ってはいない事象ということになる。

しかもこれらは、いわゆる呪いや祟りとは少々質が違う。死穢はどこにでも発生し得るし、災厄のようなものだ。無差別に伝染するし、自然に消えていく。どちらかと言えばウィルスのようなものだし、その汚染はあまりに理不尽だ。

怪異に遭遇すること自体が、事故のようなものであると言える。

【映画】残穢-住んではいけない部屋-

キタコレ。竹内結子さん主演。

映画にはちゃんと《私》にも名前がありますw その名も《小松由美子》さん。

《小野不由美》にしとけやww(でも字面似せたのかなw)

Amazonプライム会員の人は無料で観れるので、小説が苦手な方は是非こちらをご鑑賞ください。(๑•̀ㅂ•́)و✧

当たり前に原作小説の方が500倍くらい面白いのですが、着物の女性が揺れてるところはね…映像で観ておくといいですよ、恐怖心が増して…。おすすめです!😂

▼30日間無料お試しもあり▼

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

*関連(しない時もある)記事*

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【アリス殺人事件】不思議の国のアリスをモチーフにしたミステリーアンソロジー

似たような本にばかり引き寄せられるのは、やはり好みの問題か…?

読んだことのない作家さんばかりだったのですが、宮部みゆきさんがいたので手を出しました。少なくとも1つは絶対面白いはず!と。

当たり前ですが、読めば他にも面白い物語がありました。

色んな作家さん試し読みという意味では、短編集もよいですね。

【アリス殺人事件】はミステリーのアンソロジー

 表紙可愛いね。(●´ω`●)

世界で愛読される『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をテーマに、人気ミステリー作家・有栖川有栖、宮部みゆき、篠田真由美、柄刀一、山口雅也、北原尚彦が紡ぐ6つの物語。事件から事件へ、現実と異世界を自在に行き来する、ユーモアと不思議が溢れるアリスの世界へようこそ。

 もうね、いい加減『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を買おうかと思っています。そもそもなんで手元に無いんだっけ??

1.【ジャバウォッキー】著者:有栖川有栖

「凶器はどこに捨てた?」

「………」

「虹の色の血管。どくどくと流れる大動脈の果てに見る、觔斗雲の世界一の鍵穴。それを抱くアカの底――だっけ? 詩人だね」

ワタシにとっては初の有栖川有栖さん作品。美しい言葉は大好きで、もうこれだけで好きになりそう。

そもそもジャバウォックとは、『鏡の国のアリス』に出てくる架空の生物で、一説には『言語の混沌』を象徴するとも言われている。いきなりこれをメインに持ってくるとは…。

いずれにしろ、言葉遊び・暗号解読系の物語と相性抜群なのは間違いない。

作中に出てきた【火村英生】という名前を見て、反射的に斎藤工さんが思い浮かんだ。そうか、あのドラマは有栖川有栖さんの小説が原作だったのか…(ドラマは見てないけどCMを何度も見た)。

個人的に1つ残念なのは、舞台が大阪なこと。ワタシは関東人なので、立地がわからず、車をぶっ飛ばしているシーンも、情景をまるでイメージできないww

2.【白い騎士は歌う】著者:宮部みゆき

探偵事務所で蓮見加代子嬢とコンビを組んで働く、元警察犬・マサから見た、とある事件のお話。

ある会社の社長が頭を強く殴られ殺された。金庫からは保管していた現金、約千二百万円が消失。凶器には宇野敏彦の指紋が残っており、彼は事件後、行方不明のまま。

そんな敏彦の姉・友恵が探偵事務所にもってきた依頼とは…?

俺たちは車のそばまで戻っていた。奥村はまた、「いい?」という顔で助手席のドアを指す。加代ちゃんはうなずいた。

だが、彼がドアを開けたとき、俺は一足先にさっと助手席にすべり込んだ。

おまえさんは後ろに乗りな、若いの。

加代ちゃんがくすくすと笑った。

「マサという名前よ。わたしの相棒」

奥村は後部座席に乗り込んで、言った。

「嫉妬深い相棒だね」

 

犬の目を気にする人間はいないし、犬の耳や鼻を気にする人間もいない。

マサにしか見えない、真実もある。

事件の裏に隠されていたのは、悲しい現実だった。

3.【DYING MESSAGE《Y》】著者:篠田真由美

 ネットで知り合ったEmiに恋するヒロ。クラスメイトには『ネットおかま』だとバカにされつつも、ついにEmiと会うことに。

ヒロに頼まれ、Emiとの対面に付き合うことになったカズミ。演劇の本番前夜、夜間の学校で、Emiの一人芝居を一緒に鑑賞することになったが、思いもよらない事件が起こる…!

残されたメッセージは、《Yが殺す》―――!

4.【言語と密室のコンポジション】著者:柄刀一

出会う時には出会うもんですねぇ。メタミステリ。

 

懐中時計をぶらさげた、真っ白な猫は言う。

「密室殺人をほんの一つ解決してもらいたいだけですから」

「ああ、遅刻する!忙しい、忙しい」

「失礼だが」宇佐見博士は重ねて言った。「そういう台詞(セリフ)はウサギにこそ似合うのではないかな」

すると猫は、眉―どこが眉だかはっきりしないが―をひそめて不平を返した。

「あたなが『猫』と描写するからこうなってしまったのではないか。それを棚に上げて、不調法に」

 

 字義が、【文字どおり】そのまま現存する純粋原理の世界では、現実ではありえない事象が次々おこる。そんな不思議な世界で、密室殺人を行うトリックとは!?

5.【不在のお茶会】著者:山口雅也

 読者の思い描く情景を操る技術が巧みだなぁ…と、読み始めてすぐに感服させられたのがこちら。

 

今回のお茶会の参加者は、帽子を被った植物学者、3月生まれの作家、眠そうな精神科医の3名と、まだ見ぬ不在の”誰か”です。

『アリスのお茶会』と言えばもはやお馴染みのメンツである、狂った帽子屋・三月兎・眠りネズミが一瞬で思い浮かぶと思います。不思議の国の不思議なお茶会がイメージできれば、あとは”結末”に向かって突き進むだけ。

ふと気付けばそこにいた茶会の席。《私》が《私》ではない感覚。3人の記憶にそれぞれ残る、不思議な少女との出会い。

果たして、《私》とはなんなのか?このお茶会から抜け出す方法は―??

 

6.【鏡迷宮】著者:北原尚彦

舞台上で演じられる『鏡の国のアリス』。しかし本番のさなか、妙な違和感が。リハーサルとは、何かが違う…??

主役を勝ち取った貴重なチャンス。絶対に成功させたい舞台の本番で、観客の目の前で、不思議の国への通路が開く。

 

収録されている6作品の中で最も短い本作ですが、トリにピッタリの物語でした。

アリスの世界観がぎゅっと濃縮されて、王道を駆け抜けた後、綺麗に終わる。

パロディとしての完成度が高く、そのせいか読後感が爽やかでしたw

【アリス殺人事件】を読んだまとめ

ルイス・キャロルの【不思議の国のアリス】が読みたくなる。

これに尽きます。

それから、本書の解説ではかなり沢山の【アリス関連小説】が紹介されていますので、そちらも読みたくなりますね…。

不思議の国のアリスが好きなワタシにとっては、中々味わい深い一冊でした。

そう言えば映画も観たかったのに結局まだ観てないや。

時間がいくらあっても足りませぬ。。。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

*関連(しない時もある)記事*

人間だって所詮は動物【新世界より】著者:貴志祐介

むしろ今まで読んでなかったのかよ!?と、思われるかもしれませんが…。

やっと読みました、貴志祐介さんの新世界より

上・中・下巻と超長編なので、睡眠削って読みました〜。噂通り最高に面白かったです。

第29回SF大賞受賞【新世界より】著者:貴志祐介

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純真無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄で囲まれたこの町には、外から汚れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた…

隠された先史文明の一端を知るまでは。

 

手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。

ここは美しい日本(ユートピア)。子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。

まず、冒頭にも書きました通り、非常に長いです。上・中・下巻の分厚い3冊セット。

いくら休日でも、1日で読むのは厳しい気がする…。

ワタシは上巻を数日かけて読み、中・下巻を一気に読みました(止まらなくなった)。後ろの2冊を一気読みしただけで、読後の疲労感がヤバかったです…。面白くても、活字をたくさん読めば疲れるんだなぁと改めて実感しました。

貴志祐介さんの描く生き物は怖い

ワタシが大好きな【天使の囀り】を読んだときにも思ったのですが、貴志祐介さんの描く生き物ってゾッとするほど怖いです。

そして最後には、人間も所詮は動物なんだということを、感じざるを得ない。それは当たり前なはずなのに、どこか軽視してしまいがちな前提なのです。

自分たち人間と、それ以外の動物は、大きく違う生き物のように無意識に線を引いてしまいがちですが、その境界は意外と脆くて、曖昧で、簡単に飛び越えられるものなのかも知れません。

ある意味では今回も、救いのない感じで終わっている印象。

孤独。あるがまま。それが摂理。そして、それがいいのかも。

倫理観や道徳心というものは、結局のところ他者のためなどではなく、己を守るためにあるのだな、と、改めて思うのです。

【教育は洗脳だ】などとよく言いますが、この小説はそこを顕著に引き伸ばしたいい例ですね。都合の悪いものは排除して、始めから綺麗なものだけを見せておく。

だけどその教育は現実とあまりにも乖離していて、時間が蓄積すればするほど乖離も大きくなり、できた歪(ひずみ)はもはや修正不可能な粋まで達してしまう。

現実でも似たようなことはおきていて。教育されている段階で、世の中を知らないまま大人になってしまうと、社会に出てから現実との乖離を擦り合わせられない人がいる。その擦り合わせができないと、社会で生きていくことが困難になる。

【教育とは】なんて、大義を考察し始めたらキリがないですが、随時修正はやはり必須事項なのだと思います。ワタシは子供を育てていないので、どこか他人事ですが。

ドヴォルザークの新世界よりを聴きながら読むのがおすすめ

貴志祐介さんの小説は音楽との相性がいいと個人的には思います。

今回は間違いなくドヴォルザークの新世界より。タイトルにもなっていますし。

作中には度々『家路』が登場します。

Amazonプライム会員の人はプライムミュージックで無料で聴けるので是非。

ワタシは小説のクライマックス、家路の詩と重なってタイミングよく音楽も家路が流れてきて、鳥肌たちました。なんなのこの奇跡。

『家路』を聴くと、懐かしく子供の頃を思い出す人は多いはず。これも教育による刷り込みの1つですかねぇ…。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

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様々なジャンルのミステリー詰め合わせが贅沢な一冊【大きな森の小さな密室】著者:小林泰三

読んだ読んだ。またまた大好きな小林泰三さん

あの、普通にこれ、最初に読めばよかった。短編連作なのでなんとなく食指が働かず、ずっと積んでたんですよね。失敗した。普通に面白かったわー。

【大きな森の小さな密室】著者:小林泰三

ファンサービスなのかなぁ??意図はわからないけれども、小林泰三さんの小説を追っていると、突然知ってる人が出てきて面白いのです。

新しい本を読んでいても、突然別の本に出ていた登場人物がひょっこり現れたりする。ストーリーは全く別なので、単独で読んでいても何も問題ないし、何も気づかないんだけど。【小林泰三の小説】を複数読んでいると、突然知ってる人に再開したりする。

何度も言うけど、それがとても面白いの。

ワタシは先にクララ殺しを読了していたんだけど、大きな森の小さな密室を読み始めたら、『あれ、徳さん??』てなったww

徳さん、色んなとこに現れるなww

【大きな森の小さな密室】は、短編ミステリーの詰め合わせ

これは、想像以上に面白かった(語彙力貧)。

7つの短編ミステリーで構成されているのですが、ミステリー好き、小林泰三さん好きにとっては、まるでお菓子の詰合せのようにトキメク一冊。

まるでタイプの異なる7つのお話が、あれもこれも贅沢に、一通り体験させてくれるのです。優柔不断なワタシにぴったりです。(๑•̀ㅂ•́)و✧

  1. 大きな森の小さな密室 犯人当て
  2. 氷橋 倒叙ミステリ
  3. 自らの伝言 安楽椅子探偵
  4. 更新世の殺人 バカミス
  5. 正直者の逆説 ??ミステリ
  6. 遺体の代弁者 SFミステリ
  7. 路上に放置されたパンくずの研究 日常の謎

ワタシは日頃、読むジャンルが狭い範囲に非常に偏っていますので、こんな風に幅広いジャンルを一気に読むのはとても新鮮でした。

特に『バカミス』と『??ミステリ』(一応伏せます)は初めて読むジャンル。しかも『??ミステリ』の方は、ジャンル自体この時初めて知りました…。

ただ、ここで一つ懸念事項が。小林泰三さんの小説って、癖が強すぎて賛否の差が激しいのですよねw ネットの書評を見ていても、ワタシのように、好きな人ってすごく好きだし、嫌がる人ってとても嫌がってるww

だから、初めて読んだ『バカミス』と『??ミステリ』も、ジャンルの内容としては参考程度に留めておこうと思いますw

小林泰三さんの世界

最初にも書きましたが、小林泰三さんの小説って、複数読んでいると突然誰かと再会したりして。それぞれが独立していてシリーズ物ではないのに、どこか繋がっている。

それが読む度に、とてつもなく楽しいんです。

全て合わせて1つの世界、みないな感じがするので、新しい小説を読む度に、世界の欠片を拾い集めるような。そんなワクワクがあるのです。

繰り返しますがシリーズ物ではなく全て独立していますので、読む順番とかはあまり気にする必要がありません。この不思議な繋がりは、読んだ人しかわからないと思うのですが…。

例えば今回収録されていた、『遺体の代弁者 SFミステリ』。先日ワタシが読んだ、『失われた過去と未来の犯罪』のベースになっているのかな??とか。

でも田村二吉氏、他にも出演(?)作があるようなので、それも読んでみないとなんとも言えませんが(そして芋づる式に読みたくなる)。

なにはともあれ、非常におすすめです、小林泰三さん。

一癖も二癖もある世界に誘ってくれます。これぞ小説の醍醐味。

あぁ、なんだか『大きな森の小さな密室』というより、『小林泰三さんについて語る』記事になってしまったw まぁいいかww

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

*関連(しない時もある)記事*

素直に泣きたい人は自宅で読むべし【四つ話のクローバー】著者:水野敬也

何がいいって、水野さんの本は読むと毎回心が洗われて、ほっこりする。

害がないって素晴らしい。

そして天海さんが震えてる挿絵は、不覚にもワロタww

でも最終的にはうるっとくるので、4つめのお話は自宅で読むことをおすすめ致します。ワタシは電車で読んじゃって、泣くに泣けなかった…(´°ω°)チーン

四つ話のクローバー

このお話は、人生に挫折した主人公の『あっちゃん』が、地元で偶然再会した『神谷』に、4つのお話を聞かせてもらうお話。

4つのお話は、元々は神谷のおじいちゃんが創ったもので、神谷自身が以前、おじいちゃんに聞かされたものらしいんだけど。これがまた…、4つとも、いい話なんだ!(´;ω;`)

あと、ワタシが今まで読んだ水野さんの本の中で、挿絵が一番いい味出してた。

 第一話 深沢会長の秘密

日本初のカジノ誘致に成功し、ギャンブル場としてではなく、大人も子供も遊べるテーマパークとしてのイメージ広告を打ち出した株式会社フロンティア。もしこの事業が成功すれば、年間売上は一兆円を超すことになるだろう。

そんなフロンティア・グループの会長である深沢響。彼はメディア露出を嫌い、素顔は謎に包まれたまま…。

そんな深沢会長に会う方法があると、ネットでまことしやかに囁かれている。

もしも噂が本当なら、僕はこれから、深沢会長に、『この世界に存在するたった一つの成功法則』を教えてもらえることになる。

僕にニンジンを持参するよう要求した、深沢会長の正体とは?そして、世界にたった一つの、成功の法則とはなんなのか。

真実が明らかになる―――!?

第二話 ハッピーコロシアム

大みそかの夜、紅白歌合戦より格闘技より、大人気の定番番組がある。

その名も、JHC。ジャパン・ハッピー・クラシックである。

開催場所は国立競技場で、勿論生中継。

『日本人はどう生きたら幸せになれるのか?』という問題に対して、様々な分野の猛者たちが熱いバトルを繰り広げる。バトルの勝敗は、『脳内神経伝達物質計測装置』によって計測される、『幸せ指数』で決定される。

幸せとは個人的なものであるから、見た目だけでなく本当にその人が幸せなのかどうかを知るためには、脳内神経伝達物質を計測する必要があるため、とのこと。

最高潮に盛り上がった最終決戦、戦うのは 真田氏 vs 天海氏 !!

真田氏プロフィール

真田雄一郎、35歳。

株式会社アルバトロスリゾート代表取締役社長。

不動産業を母体としながら飲食業やリゾートホテル経営など、様々な事業に進出。

同氏はバラエティ番組にも登場し、私生活の豪華さが度々特集されているセレブ社長。

会場には自家用ジェットで現れ、両脇には人気のトップモデルをはべらせている。

天海氏プロフィール

天海悟、家族は妻と息子が一人。

ドン・キホーテで売っている690円のジーンズに、ポロシャツをインするのが定番ルック。

毎日乾布摩擦をしていて寒さに強い、…らしい。

決戦内容

第一試合 「食」

第二試合 「世間体」

最終試合 「舌戦」

 

まるで資本主義経済の縮図かのような二人。

果たして本当に幸せなのは、どっち!?!?

第三話 見えない学校

仕事帰りの駅のホーム。

気がつくと、僕の目の前には、ベンチで口から嘔吐し、気を失っている僕がいた。僕の手は…、透けている!?

誰にも見られず、誰にも聞かれず、誰にも触れない。そんな僕に唯一話しかけてきた沢村は、こともなげに言ったのだ。

「しかし兄ちゃんも災難だったな。こんな若いのに地縛霊になるなんてなぁ」

その時、ホームに思い鐘の音が鳴り響いた。そしてそれに反応するように、ホームの下から青白い光に包まれた無数の亡霊たちが這い出てきたのだ。

ホームには、大量のガイコツを載せた電車が滑り込んでくる。

「あ、あのガイコツは、何ですか?」

「さっきも言ったろ?『天使』だよ」

一体彼らは、なぜ地縛霊になってしまったのか?

地縛霊にならないためには、どうすれば良かったのか??

地縛霊を終わらせるため、今、卒業試験が始まる。果たして合格できるのか――?

第四話 氷の親子

8月31日の今日、夏休み限定で特設されていた『氷の動物園』は閉鎖された。

会場の外に出されてしまった氷の熊の親子、熊五郎と小太郎は、真夜中の遊園地を彷徨っていた。このままでは、身体が溶けて死んでしまう。

ジェットコースターも、お化け屋敷のお化けたちも、観覧車も。懸命な親子にみんなが協力するが――!?

4つのお話を読んだ感想

この本には、『生き方について』がまとめられている。

人生に行き詰まってふさぎ込んでいたいたあっちゃんが、神谷のじいちゃんが創ったお話を聞いて、少し考えを整理する。

なんて言うんだろう…。自己啓発本ていうのはたくさんあるし、ネットにもオピニオン記事っていうのは腐るほど転がっている。どれが正しいとか、どれが間違っているっていうのは無いんだと思うんだ。生き方なんて人それぞれだし、自分に合ったものを選択すればいい。

だけどこの四つ話のクローバーは、誰にでも共通するような本当に根本的な事が書かれている。そして、読んだ人が素直に受け入れやすいように書かれている。

いつもいつも、それが水野さんの文章の、最大の特徴だと思う。大事なことを素直に受け入れられるから、心が洗われるような気がしちゃう。ユーモアが散りばめられていて、クスッと笑っちゃうし、感動したら素直に泣きたい。そう思わされる。

Kindleオーナーライブラリーの対象にもなっている本なので、機会があれば是非読んでみて欲しい。

ちなみに深沢会長の成功の法則は、夢をかなえるゾウの3巻でガネーシャも言っていたことだった。きっと、とても大事なことなんだね。

水野さんの書いた話、道徳の教科書に載せればいいのになー。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

*関連(しない時もある)記事*

それは単なる記憶の再生か、死者の復活か。【失われた過去と未来の犯罪】著者:小林泰三

魂とは、身体に宿るのだろうか。

記憶が価値観を形作るなら、それは人格、即ち魂ではないのだろうか。

では、記憶を丸ごと外部メモリにコピーして、他人の身体に入れたらどうなるのだろう?

他人の身体と、他人の記憶。

それは一体、”誰”なのだろう??

 【失われた過去と未来の犯罪】著者:小林泰三

女子高生の結城莉乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。いち早く状況を理解した莉乃は急いでSNSに書き込む。

「全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行なってください」。

それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置(メモリ)」に頼り、生活するようになった。

「わたし」の中には、なぜか何人分もの記憶、思い出が存在している。

「替えメモリ受験」をしようとした学生の話。

交通事故で子供を亡くした父親の話。

双子の姉妹の話。

メモリの使用を拒否する集団の話。

謎の「声」に導かれ、「わたし」は自分の正体をついに思い出す…。

物語の終幕に、「進化の果て」が浮かび上がる。 

【ブラックSFミステリ】なんて、惹かれるに決まってる

既に帯が煽っている。ワタシを。

こんなの面白いに決まっているじゃんね、小林泰三さん好きなんだから。

相変わらず物語がテンポよく進み、文字数の割にはあっという間に読んでしまいました。テーマは重いんだけど、運びは軽やか。このバランスが絶妙なのです。

身体と記憶を繋ぐものが魂だと思っていた

漠然と。

いや、具体的に説明しろって言われても無理なんだけど。ただなんとなく、ワタシはそう思っていたの。でも、この物語を読んだら自信が無くなった。

記憶がこんなにも重要な要素だったなんて。いや、考えてみたら当たり前なんだけど。

人格って、記憶がなければ成り立たないよね。

脳が重要なのは、記憶を司るのが脳だからだ。

記憶の積み重ねで価値観が生まれて、その価値観を基準に物事を判断し、人格が形成される。

ではこの過程で、身体というものは人格に対して、どの程度影響を及ぼすのだろう。脳そのもののスペックを含めて、身体というものは人格に影響を与えるのだろうか?

 

例えばワタシの恋人が死んだ場合に、彼の記憶を丸ごと外部メモリに移植できたとして、それを他人の身体で再生できたら…?

その他人は彼が生まれた時からの記憶を持ち、彼の価値観で物事を判断し、彼のようにワタシを愛する。彼と寸分違わず、想い出も共有している。

それは一体、”誰”なのだろう?

脳がフル回転する小林泰三ワールド

いつもいつも、独特の世界観にやられる。一瞬頭が混乱するので、まずは一呼吸。

そしたらもう、あっという間に引きずり込まれる。

時空の狭間に堕ちて、知らない世界に放り込まれるみたいに。

どーでもいいけど、いつも表紙がツボなんですよね。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

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小林泰三さんの【クララ殺し】を読む前に

不思議の国の不思議な世界観再び…!?

念願叶ってクララ殺し読了しました。

個人的には少しの後悔も残しつつ…、小林泰三さんの世界観を楽しむことができました。

【クララ殺し】著者:小林泰三

今回ワタシは、大好きなこのシリーズを読んで後悔を残してしまいました。最悪な感じ…。(´°ω°)チーン

ですからこれから【クララ殺し】を楽しもうと思っている皆様には同じ轍を踏んでは欲しくなく、この記事を書きます。

物語を純粋に楽しむために、まずは万全に準備していただきたく思います。

準備1.アリス殺しを読み直す

本作、【クララ殺し】は【アリス殺し】の続編です。

一般的なミステリー小説のシリーズ物とは異なり、いきなり【クララ殺し】を読むのはまるで意味がわからないと思うのでおすすめできません。

これは世界観が特殊な為であり、その世界観が事件解決に向けての重要なキーポイントでもある為です。

そしてワタシの油断は、ここでおこりました。 

ワタシは【アリス殺し】の単行本を持っていて、2年ほど前に読了済みです。細かい所はあやふやですが、世界観はしっかりと覚えています。地球・不思議の国・アーヴァタールの関係性についてはきちんと認識しています。

だから読んでしまったのですよね、クララ殺しを。いきなり。

基本的にはそれで問題はないのですが、最後の最後で『あっ!』と驚く結末が…!?

しかしワタシが、『あっ!』と驚く前に『んっ!?あれ!?』と一瞬迷ってしまったのは、直近で【アリス殺し】を読み直していなかったせいです。

2冊を立て続けに読むのであればそれが1番ですが、アリス殺しとクララ殺しを読むのに間があいているようなら、まずはアリス殺しを読み直しましょう。全部読み直すのが面倒なら最初と最後だけでOKです。

準備2.ホフマン作品をざっくり学ぶ

ここは好みが別れるところではありそうですが…。アリス殺しをどう楽しんだかにもよると思います。

ワタシは原作の不思議の国のアリスが好きでして、そこに登場するキャラクターが出てくるのをとても楽しめました。

対してクララ殺しはどうでしょうか。クララといえば原作はくるみ割り人形です。ワタシはその程度の知識だけで読み始めてしまいましたが、厳密には違います。

【くるみ割り人形】はバレエの三大演目にもなっていますが、これには更に原作があるのです。タイトルは【くるみ割り人形と鼠の王様】。クララ殺しはこの大元の物語をベースに創られています。

しかも今回のクララ殺し、モチーフは【くるみ割り人形と鼠の王様】1作品だけではありません。

作者であるE・T・Aホフマン(ドイツの作家)の主要作品がいくつか入り乱れているのです。

  • くるみ割り人形と鼠の王様
  • 黄金の壺
  • 砂男
  • マドモワゼル・ド・スキュデリ

これらの作品は親切にも、クララ殺しの単行本の巻末にあらずじが掲載されています。

まずは本編を読み、参考作品のあらすじを読み、そして本編を再読することが巻末にて推奨されていますが、

ワタシは1度で全てを済ませたかった(´゚д゚`)

読書家さんの中にはまず巻末から読む人もいらっしゃるようですが、ワタシは解説ページを先に開いたりはしない主義。しかし今回に限っては読めばよかったなぁ~と後悔しています。

 本編をじっくり2回読む気がある方は巻末の推奨どおりでいいのですが、ワタシのように一度で済ませたい人は先に巻末のホフマン作品のあらすじを読んでおくと、おおよそのキャラクターの立ち位置を考慮しながらミステリーを堪能できます。

 

クララ殺しを読んだまとめと感想

ワタシは今回、

アリス殺し読了→2年経過→クララ殺し読了→アリス殺し再読→ホフマン作品のあらすじ流し読み

という流れになってしまいましたが、理想は

アリス殺し再読→ホフマン作品のあらすじ→クララ殺し

だったと思っています。

 

『スナークは?』

『…ブージャムだった』

ビルの決めた合言葉が、まさか世界をがらりと変えるほど重要なものだったなんて…。

でも、そういえばチェシャ猫が言っていたよね。全ては辻褄の合った夢なんだ、と。

ワタシは赤の王様(レッドキング)の次の夢をとても楽しみにしています。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

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