金属アレルギーなOLの業務外報告

全てのストレスを受け流し、気ままにゆるく生きる意識低めなOLの雑記。

【青の炎】を読んで背筋が凍る。著者:貴志祐介


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※この記事はH29.2.27に加筆・修正を行っています※

貴志祐介さんの小説が続いております。コレもひとえに、彼の小説を大量に貸し出してくれる友人のおかげと言えます。ハイ、買ってません…。全部借りてる!ゴメン!!

 

【青の炎】著者:貴志祐介

こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために、氷のように冷たい殺意を抱いて…。

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。 

読み終わった瞬間、思わずため息が漏れた…。あまりに切なく、世の不条理さに戸惑いと混乱が残る。

二宮和也くん主演で映画化もしている作品なので、ご存じの方も多いと思う。ワタシもタイトルだけは知っていた。映画は見ていないし、あらずじさえ知らなかったけれど…。

 

未成年故の無情

仕事帰りの満員電車で本を読んでいて、背筋がヒヤリとした。それはとても懐かしい感覚だったから。人それぞれイキサツは大なり小なりあるだろう。

いずれにしても秀一のように、未成年であるが故の無情な仕打ちは経験がある人もいるのではないだろうか。少なくともワタシにはある。

人生の中では非常に苦い部類の経験だ。お陰様でワタシは【若い頃に戻りたい】などと夢見がちな幻想を抱いたことは一度もない。昔には戻りたくない。絶対に。

大人になりたかった。とにかく早く大人になりたい。そう思い続けた。

制限されたくない。抑圧されたくない。理不尽に、不当に扱われたくない。未成年は無力だ。思った以上に。

精神は成熟し、世の中が見えるようになり、それでも【未成年】というだけで何も認めてもらえず、全てをはぐらかされる。

フラストレーションだけが懇々とたまり続け、滞留し、やがて腐り始める…。

あぁ、だけど…。

今思えば、少し違うこともある。成熟したと思った己の精神は、やはりまだ子供だったのだ。その時は目いっぱい大人になったつもりでも、30歳になった今思い返せば可愛いものだ。それさえわからなかったのは、やはり【未成年】故なのだろうか。なんだか少し気恥ずかしい。

 

倒叙(とうじょ)ミステリー

そういうジャンルがあるの、初めて知りました。

【青の炎】はまさにコレに該当するそうです。

倒叙ミステリーとは事件の犯人サイドに視点をあてたもので、読みながら犯人を探していく通常のミステリーと逆の設定ですね。読者は始めから犯人を知っているわけです。

通常のミステリーとはまた違ったドキドキ感を体験できます。まるで自分が犯罪を犯しているような…そんな緊迫感。ワタシが【青の炎】を読んでいて不整脈起こしそうになったのはこのせいですね。めっちゃ緊張したわ。

 

【青の炎】まとめ

これは運命なのだろうか。どうにかならなかったのか。救いはないのか??

何度も自問自答してみるけど明るい答えは出てこない。

結局はこれが運命だったのだと、言い聞かせるしかないのだ。

閉ざされた世界と、未成年故の制約。どれほど聡明であっても、壁はある。

青春時代のほろ苦い経験を思い出し、なんだか切なくなる作品でした。

貴志祐介さんは読み手を緊張させるのが上手である。

読みながら心臓がドキドキしてしまった…。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

オヤスミナサイ☆|)彡サッ

 

 

 

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