金属アレルギーなOLの業務外報告

全てのストレスを受け流し、気ままにゆるく生きる意識低めなOLの雑記。

人間だって所詮は動物【新世界より】著者:貴志祐介


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むしろ今まで読んでなかったのかよ!?と、思われるかもしれませんが…。

やっと読みました、貴志祐介さんの新世界より

上・中・下巻と超長編なので、睡眠削って読みました〜。噂通り最高に面白かったです。

第29回SF大賞受賞【新世界より】著者:貴志祐介

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純真無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄で囲まれたこの町には、外から汚れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた…

隠された先史文明の一端を知るまでは。

 

手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。

ここは美しい日本(ユートピア)。子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。

まず、冒頭にも書きました通り、非常に長いです。上・中・下巻の分厚い3冊セット。

いくら休日でも、1日で読むのは厳しい気がする…。

ワタシは上巻を数日かけて読み、中・下巻を一気に読みました(止まらなくなった)。後ろの2冊を一気読みしただけで、読後の疲労感がヤバかったです…。面白くても、活字をたくさん読めば疲れるんだなぁと改めて実感しました。

貴志祐介さんの描く生き物は怖い

ワタシが大好きな【天使の囀り】を読んだときにも思ったのですが、貴志祐介さんの描く生き物ってゾッとするほど怖いです。

そして最後には、人間も所詮は動物なんだということを、感じざるを得ない。それは当たり前なはずなのに、どこか軽視してしまいがちな前提なのです。

自分たち人間と、それ以外の動物は、大きく違う生き物のように無意識に線を引いてしまいがちですが、その境界は意外と脆くて、曖昧で、簡単に飛び越えられるものなのかも知れません。

ある意味では今回も、救いのない感じで終わっている印象。

孤独。あるがまま。それが摂理。そして、それがいいのかも。

倫理観や道徳心というものは、結局のところ他者のためなどではなく、己を守るためにあるのだな、と、改めて思うのです。

【教育は洗脳だ】などとよく言いますが、この小説はそこを顕著に引き伸ばしたいい例ですね。都合の悪いものは排除して、始めから綺麗なものだけを見せておく。

だけどその教育は現実とあまりにも乖離していて、時間が蓄積すればするほど乖離も大きくなり、できた歪(ひずみ)はもはや修正不可能な粋まで達してしまう。

現実でも似たようなことはおきていて。教育されている段階で、世の中を知らないまま大人になってしまうと、社会に出てから現実との乖離を擦り合わせられない人がいる。その擦り合わせができないと、社会で生きていくことが困難になる。

【教育とは】なんて、大義を考察し始めたらキリがないですが、随時修正はやはり必須事項なのだと思います。ワタシは子供を育てていないので、どこか他人事ですが。

ドヴォルザークの新世界よりを聴きながら読むのがおすすめ

貴志祐介さんの小説は音楽との相性がいいと個人的には思います。

今回は間違いなくドヴォルザークの新世界より。タイトルにもなっていますし。

作中には度々『家路』が登場します。

Amazonプライム会員の人はプライムミュージックで無料で聴けるので是非。

ワタシは小説のクライマックス、家路の詩と重なってタイミングよく音楽も家路が流れてきて、鳥肌たちました。なんなのこの奇跡。

『家路』を聴くと、懐かしく子供の頃を思い出す人は多いはず。これも教育による刷り込みの1つですかねぇ…。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

 

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