金属アレルギーなOLの業務外報告

全てのストレスを受け流し、気ままにゆるく生きる意識低めなOLの雑記。

霊視占いにハマった女 その1


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『やたらと過去現在のことを云い中てる占い師は、信用出来ない』

京極堂さんの言葉がやけにしっくりきたのは、今、私の身近に、全てを失おうとしている女がいるからだ。

その女は、大層占いに傾倒している。

霊視占いにハマった女

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今回は以前に書いたこの記事の続きである〉〉〉【休職】鬱の谷間に転落する瞬間 - 金属アレルギーなOLの業務外報告

心に傷を負い、医師に抑うつ状態と診断されて休職した彼女は、わずか2ヶ月で復職してきた。

【抑うつ状態】と診断書に書かれてから7ヶ月経過

2ヶ月という休職期間。これは果たして長いのだろうか、短いのだろうか。もちろんその人の症状と状況によるのだろうが…。私から見た感じでは、彼女にとって、2ヶ月という休職期間は、明らかに短すぎた。

彼女は正社員で、勤続年数も長い。うちの会社はブラックかホワイトかで言えばホワイト寄りで、社員の個人的な事情もある程度考慮してくれる。休職中の傷病手当金の手続きもきちんとなされるし、抑うつ状態で休職している人に、無理に復職を促すようなこともしない。

長く正社員で頑張ってきたのだから、これを利用しない手はない。休める状況が整っているならば、必要に応じてきちんと休むべきだ。これは本人のためでもあるし、周囲のためでもある。

 

鬱の谷間に転落した時に、這い上がれる人間と、這い上がれない人間がいる。私は這い上がった人間で、うちの部署の上司も同じような経験を持っていた。

しかし今回当該の彼女は、這い上がっては来なかった。転落してから7ヶ月。恐らくこのままでは、彼女は一生を暗い谷底で終えることになるだろう。

彼女は恋人を失い、家族を失い、職を失った。

「これからどうやって生きていこう…」

そう呟いた彼女に、もはや掛けられる言葉は何も無かった。

転落後の対処

谷底に落ちたとき、最も自分の枷になるのはプライドだと思う。プライドは、鉛よりも重い足枷になる。まずはそれを自分から切り離し、自分が谷底に転落したという事実を認めること。事実の認識はとても重要だ。現状を理解しなければ、対策を講じることはできない。

そして事実を認識したら、他者からの手も借りること。周囲からの協力も受け入れ、けれど依存しないこと。他人との距離感を冷静に判断することが必要になる。自分がなぜ転落したのかを、見誤っては同じ転落を繰り返すからだ。

さて、そもそもここで1つ問題が発生する。自分が暗い谷底に転落した時に、一緒に深淵を覗き込み、手を差し伸べてくれる人がいるかどうかである。それは家族かも知れないし、友人かも知れないし、恋人かも知れない。

転落するまでの人生の、人間関係の構築が重要になってくる。手を差し伸べてくれるだけではダメで、時には突き放し、冷静さを取り戻させてくれる人でなければならない。

プライドを捨てられない人間は他者の意見を受け入れられないし、そうすると冷静さを取り戻せない。判断力は失われたまま、谷底をぐるぐると周るハメになるのだが、そもそも判断力がないので本人は気付かない。

混乱し、思い悩み、責任転嫁を始めたらかなりまずい。完全に道を見失っている。

 

しかし彼女は、そこまで到達してしまった。谷底の、更に底へ、向かい始めてしまった。

大量の迷惑メール

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そもそもたった2ヶ月で復職してきた彼女は、誰がどう見ても、まだ何も改善されていなかった。

食事もろくに摂れておらず、ガリガリに痩せていて、仕事なんてできる状況じゃない。気持ちの整理も付いていないし、仕事を含め、今後の人生の展望を立て直したようにも全く見えない。

周囲(会社の人間)が休職期間を伸ばすように勧めても、聞き入れられず無意味に終わる。復職は彼女本人の強い希望であった。

それは責任感でもなんでもなく、それこそ只の、彼女のつまらないプライドだった。

それでも復職直後は、まだ一生懸命やる気を見せていた。だから周囲も、それなりに彼女に対して協力的だった。

そんなある日、私は彼女から相談を受けた。

彼女のスマホに、大量のメールが届くというのだ。『そのメールがなんなのかわからない。どうしていいかわからない』とのことである。

私はそのメールを見させてもらった。

メールの内容はいずれも、SNSのパスワードを変更するよう促す内容だった。パッと見は、送信者がSNSの公式であるかのように偽装されている。

ネットリテラシーの低い彼女がこのメールに戸惑ったのは、そもそも彼女がそのSNSのアカウントを持っていなかったからだ。

『登録した記憶がないのにどうなってるのかな?私忘れちゃったのかな??そのアカウントを確認する方法はあるの??』と、こうである。

めでたい…。

メールの送り主はよく見れば海外で、記載されているURLは末尾のアルファベットの並びがどうにもおかしい。

「Cさんは、迷惑メールを送るようなお友達が海外にいらっしゃるのですか?」

ふざけて私が聞くと、「そんなワケないじゃ〜ん」と彼女も笑った。笑い事ではないのだが。

海外の番号から自分の番号にひっきりなしに迷惑メールが送られてくるなんて、どう考えても普通じゃない。Cさんのメールボックスには、明らかに尋常じゃない数のメールが並んでいたのだ。

「変なサイトに個人情報を登録しませんでした?いつからこんなにメールが来るようになったんです??明らかに普通じゃないんですけど」

「あはは…。えぇーと…休職してる時…かな??」

「何かやったんですか?」

「いや、時間がいっぱいあって、病んでるからベッドでグダグダしてて…ひたすらネットしてたから…多分その時に変なの登録しちゃったのかも知れない。よく覚えてないけど…」

明確な答えは返ってこなそうなので、とりあえず拒否設定と削除を繰り返した。

新たなメールが来ても絶対に返信するな、URLをクリックするな、と言い含めて、この件は終わりにした。

まったく…40過ぎて何やってんだよこの先輩は…

ラーメン屋にて

仕事帰り、上司とラーメン屋に立ち寄った。いよいよおっさんサラリーマンみたいだなぁと思いつつ、30代独身女の楽しみであり、特権でもある。職場ではあまり言えないようなことを言い合う会合だ。

「Cさん…マジでやばいっすよ」

「Mさん今日なんか盛り上がってたね?何話してたの??」

「Cさんに相談されたんですよ。『よくわからないメールが来る』って。よくわからないも何も、ただの迷惑メールでしたけどね。しかも全部海外からの。メールボックスがマジでカオスでした」

私は自分が見たCさんのメールボックスの中身を詳細に伝えた。

「あの人、絶対変なサイトに個人情報登録してますよ」

「私思うんだけどさー、Cさんが登録してるの、占いサイトじゃない??」

「うらない???」

 「ほら、前に言ったじゃん?Cさんが『以前占い師に占ってもらったことがある』って言ってたって。」

「あぁ、なんかそんなようなこと言ってましたね」

「いつ占ってもらったか、Cさんハッキリ言わなかったけど…。私あれ、最近の話だと思うんだよね。休職中なんじゃないかな?」

にわかには信じがたいけど、それはあくまでも私の価値観でしかない。

男にフラれて(仮説)、ショックで心を病んで(事実)、占いに頼って(仮説)、占いサイトに個人情報登録(仮説)。

ほぼ仮説ではあるけれど、まぁ辻褄は合う。Cさんなら有り得そうな気もする。

あまりにも事実より仮説の比率が多いので、私達はこの一連の筋書きを妄想と名付けた。そうして帰り際、上司がニヤリと笑う。

「私達の”妄想”ってさ、いつも大体的中するじゃん?」

た、確かに…。

メンタル病んだ人間が、怪しげな団体に洗脳されて、搾取される…。ありがちなストーリーではあるよね。

ぼんやりと考えながら、満員電車に揺られて帰宅した。にんにく臭くてごめん…。

 

<<長いので続く>>(多分)

 

 

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