※この記事は2018.3.9に加筆・修正をしています※
ここ数日、物凄い勢いで貴志祐介さんの小説読みまくった。
面白すぎてとまらない。彼は天才か…!?
グロいと評判の【天使の囀り】著者:貴志祐介
北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。
恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。
天使の囀りを読んだ感想は、面白さダントツ
読了後、なんだか気分が悪くなった。
グロいのとか気持ち悪いのとか気色悪いのとか、ワタシは割と平気な方だと思う。この本も食事中に読んだりしていたし(通勤電車と昼休みがワタシの読書タイム)。特に問題は無かったのだけど、読了直後はなんだか気分が悪くなったのだ。
全て読み終わり、内容を一通り反芻し、もしこれが、現実に起こったら…??
早苗を自分に置き換えるような妄想を抱いたら、途端に気分が悪くなった。
ストーリーの【ここが】って言うのは無くて。全体を通して、世界(観)そのものの全容を理解した時、なんだか急に悍ましくなったのだと思う。
だから【気分が悪くなった】と言うのがこの小説の余韻であり、読後感であり、最大の感想だった。
主人公が女性で、歳も近く、シンクロしやすかったことも要因かもしれない。
貴志祐介さんの小説は4作読んだ(以下読了順)。
- 黒い家
- クリムゾンの迷宮
- 青の炎
- 天使の囀り
ワタシの個人的な感想では今回の【天使の囀り】が1番面白かった。ドキドキハラハラするようなシーンは無かったのに、1番面白いなんて…。
貴志祐介さんの作品、あまり映画化してくれるなよ?
ついに4作読んだわけだけど、ジワジワくる…。彼の作品にハマるファンの気持がわかってきた。コンセプトの幅が広く、知識量は膨大で、情報は緻密に織り込まれている。
これは確かに…ハマるわ…。
貴志祐介さんの小説は映画化されたりアニメ化されたりというのがチラホラ目につくのだけど、天使の囀りはご遠慮願いたい。夢が壊れるw
これはリアリティがあるから気色悪い(褒めてる)のであって、アニメ化したら意味ないし、実写でチャチなCG使われたらイメージが崩壊する。
読後感がツライのは何故なのか
なんだかいつも辛い気持ちになるのだが、今回【天使の囀り】の解説を読んで、なるほどと思う。
彼の作中において(少なくともワタシが読んだものは)、主人公は常に孤独なのだ。そこには慰めも救いもなくて、ただ世界が広がっているだけ。都合のいいことが起こるでもなく、問題が解決するでもなく、そこにはただ残酷とも言えるような現実が転がっている。ただそれだけ…。
小説家って簡単になれる職業じゃないんだなぁと改めて思う。主人公の知能が高ければ高いほど、物語はより一層複雑になる。それにはまず、物語を描く本人の知能が高くなければ実現しない。
サバイバル知識、オーストラリアの生態、化学、薬理学、アマゾンの生態に精神医療と脳科学。パッと思いつくだけでも膨大な情報が織り込まれている。貴志さん、脳内は一体どうなっているのやら…。
おまけ
本書内に印象的な一文があった。
喫煙には、ストレスを和らげ、集中力を高める作用があるとはいうが、結局のところ、緩慢な自殺行為以外の何ものでもない。自分の余生がじりじりと燃え尽きていくのを見ながら喜んでいるとしたら、馬鹿かマゾヒストのどちらかだ…。
正にその通りなのだがなんだこの説得力は。今後はタバコの火種を眺めるたびにこの小説を思い出すに違いない。
それからもう一つ。ヨガや瞑想のくだりである。
神経の伝達する情報をできるだけ遮断し、呼吸回数を減らして脳を低酸素状態に置くことによって、意識を、ある種の忘我(トランス)状態に持っていくことができる。これは、悟り云々とは関係なく、純粋なテクニックの問題であり、多くの宗教が、この状態における恍惚感を布教に利用していた。
そ、そうなんだ…。
ワタシはヨガが好きで、瞑想の時間が好きだ。あまり深く考えたことはなかったのだけど(バカだから?(´°ω°)チーン)、つまりはこういう事だったらしい。ふぅ~ん、なるほど…。納得。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
オヤスミナサイ☆|)彡サッ
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