解離性同一性障害とは、かつて多重人格障害と呼ばれたいたもの。
多重人格の女子高生をテーマにしたホラー小説です。
十三番目の人格(ペルソナ)-ISOLA-】著者:貴志祐介
賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格<ISOLA>の出現に、彼女は身も凍る思いがした。
阪神・淡路大震災と多重人格障害
貴志祐介さんのデビュー作。扱っているテーマはとても繊細だけど、ジャンルは完全なるホラー。
【イソラ】ってなんか聞いたことあるなぁ…と思ったら、映画化していたアレですね。【リング】と一緒に上映していたやつ。ワタシは見てないけど…。
少しだけファンタジックな要素もあり(ホラーだから?)、ワタシが今までに読んだ貴志祐介さんの他の小説とは少しだけ毛色が違うかなぁ?と。クオリティーもちょっぴり下がる気がするのは、デビュー作だから??…いや、彼の描くミステリーが面白すぎるのですね、きっと。
しかし自分の中に別の人格が存在するというのはどんな感じなんだろう。ワタシの乏しい想像力では計り知れないけれど、その人格が善人とは限らないわけで、それってやっぱり恐ろしいよね(少なくともホラー小説のテーマに出来るくらいには)。
人格の【抹消】と【統合】は似ているようで随分違う。とても過酷な運命だなぁ…。
相変わらず【続きが有りそうな雰囲気】で終わるから想像を掻き立てられるんだけど、【相変わらず】という言葉は適切じゃなかった。ワタシの読む順番が前後しているだけでこれはデビュー作だから、彼の小説は初めから一貫して【そういう終わり方】を貫いているんだね。それが作風の一つと言える。
貴志祐介さんの描くヒロイン
これまでにいくつか貴志祐介さんの小説を読んで、主人公が女性の作品を読むのはこれで2つめ(1つめは【天使の囀り】)。
ワタシ、彼の描くヒロインが好きかもしれない。
【好き】にも様々な種類があるが、今回は【共感しやすい】という意味で。共感しやすいということは、少なからず【自分に似ている】部分があるということだと思う。
【天使の囀り】を読んだ時はたまたまだと思った。年齢が近いとか、同性だとか、ざっくりした理由のせいだと思ったのだけど。この【十三番目のペルソナ】を読んでいる時にそうではない事に気付いた。彼の描くヒロインは、考え方や性格などがどこか自分と似ていて、いつのまにか共感して、物語にのめり込んでしまうのだ。
ワタシは【大沢在昌さん】の小説が好きで結構読んだのだけど、よく考えたら彼の小説に出てくるヒロインにはここまで共感しない。年齢の近い同性の主人公でも、共感した記憶はあまりない。
だからのめり込むというよりは、客観的に物語を見て愉しんでいる。
そういった意味で、貴志祐介さんの小説の方が読後の余韻が強くて長い。
まとめ
貴志祐介さんの小説の主人公はみんな幸せになれないねw
そこが面白いのかもしれないけど。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
オヤスミナサイ☆|)彡サッ
▼表紙デザインは2012年にリニューアルされたらしい