私はスターバックスで働いたことがないし、知り合いにもスターバックスの社員はないない。
だからこの本に書いてあることが真実かどうかはわからない。
しかしそれを言ってしまうとキリがないので、本の内容が全て真実であることを前提にこの記事を執筆致します。
【スターバックス成功物語】
北米1400店舗を誇るコーヒーショップチェーン・スターバックスの最高経営責任者が語る、成長と成功の記録。わずか5店の小さな会社が社員本位の経営によって全米有数の企業に成長するまでの戦いを描く。
なぜこの本を購入したのか
単純にスターバックス(というお店)が好きだから。利用するのは年に数回程度だけれども、それはワタシにとっては多い方。
ドリンク一杯ではまるで割に合わなそうなあの居心地の良い空間が、どうやって利益を出しているのか気になった。
明確な答えがこの本に書いてあるかはわからなかったけど、とにかくスターバックスに対する興味関心が常に私の中にあって、その本質を少しでも垣間見れればと思い購入に至った。
購入してから読み始めるまで、かなりの時間を要した。半年〜1年くらいは積ん読していた気がする。
分厚くて重くて、小さい文字がびっしり書かれている。以前に読んだ【7つの習慣】を思い出し、手を付けるのが憂鬱になった。私なんかには理解の難しい、さぞ小難しいことが書いてあるのだろう…と。
重い腰をやっと持ち上げ、ページをめくって拍子抜けした。
ビジネス云々よりも、彼の生い立ちから始まっていたから。まるでエッセイのように、彼の人生が刻まれている。ハワード・シュルツという、その人の。
彼の主観、彼の価値観、彼の人生が、情熱的に綴られていた。
スターバックスとの出会い。まるで小説でも読んでいるみたい。主人公が起業家なだけである。
うちの社長に読んでほしい理由
スターバックスという会社は、常に社員のことを考えている。これは会社を語る上で絶対に外せないエピソードだ。
経営に携わるようになった当初から、スターバックスをだれもが働きたがる人気のある企業にしたいと考えてきた。
第9章 社員は経営の道具ではない
ハワード・シュルツが最初から一貫して貫いてきた思想の一つがこれである。
従業員を尊重すること、意見をきくこと、環境を整えること、待遇をよくすること。社員にとって、こんなに居心地のいい会社はないだろう。
実際の所、従業員を尊重したいと考えている経営者は少なくないはずだ。しかし、結果的にそれを行動に移せるかどうかは別の問題だったりする。
様々なしがらみ、それは時に感情的なものであったり、経営状況(損益のバランス)などであったり、弊害となるものを挙げればキリがない。
しかしハワードの考えは以下である。
小売業やレストラン業にとって、顧客サービスは死活に関わる重要な問題である。それにも関わらず、これらの業界の給与や福利厚生の水準が全産業中で最低というのは、なんとも皮肉な話だ。この業界の社員は会社の中核を担っているだけでなく、会社の顔として世の人々と接する存在なのだ。売上金はすべて彼らの手を通さなければならないのである。
小売店やレストランでは、顧客がどのような体験をするかですべてが決まる。たった一度悪印象を与えただけで、永久にその顧客を失うことになるのだ。パートタイマーで働く二十歳の学生や俳優志願者の手に会社の運命が託されているのであれば、彼らを消耗品のように扱ってよいはずがない。
こうやって抜粋してみても、建前臭が凄い…ww
しかしこれを貫いてきた結果として、現在のスターバックス・コーポレーションという会社があるらしい。
当たり前のようで、実行するのは難しいことを着実に積み上げてきた結果である。
社員を経費欄に記載する一項目と考えない
理解はできるけど、これを経営者に求めるのは中々難しい気がする。
難しいのはわかっているが、敢えて従業員にとって都合のいい部分を抜粋してみた。なぜならワタシという人間が会社員だからである。当然の結果だ。
社員のペルソナ
ハワードが上記のような考え方を一貫して貫けたのは、社員に対するペルソナが明確だったからではないだろうか。
本書はハワードの幼少期の思い出から始まる。彼は日本で言うところの、いわゆる【団地】で育った人間なのだ。決して裕福ではなかった。
彼は父親に対し、ある種のトラウマを抱えているように思う。【従業員の扱い】について考える時、度々父親の話があがってくる。
ハワードは常に、スターバックスの社員と自分の父親を重ねているのだ。自分にとって身近な身内である父親をペルソナに置くことで、社員と真摯に向き合い、きちんとした待遇を用意するよう常に意識せざるを得なくなったのではないか。
経営戦略より人間臭さ
この本の面白いところは、スターバックスという大企業の小難しい経営戦略などでは決してない(ワタシ的に)。
ハワード・シュルツという男がどれほど情熱的に、【スターバックス】といブランドを育ててきたのか。これに尽きる。
【成功物語】という本のタイトルはとてもいい。本当に【物語】を読んでいるような感覚で読み進めることができるから。
プロローグとパート1を読んだだけで、涙が出そうになった。
試行錯誤の繰り返し、挫折しそうになりながらも情熱的に誠実に働き続ける彼に、いつの間にか感情移入していた。
スターバックスには信念がある。それは彼の信念だ。顧客はきっとその信念に惹かれ、スターバックスに惹かれるのだと思う。
会社の軌跡が細かく記され、その時彼がどんな気持ちだったか、どんな葛藤があったか、なぜその決断をしたのか。そこにスターバックスの魅力が隠されている。
スターバックスというお店が好きな人は、一度読んでみることをおすすめする。人気のフラペチーノが、どのような経緯で生まれたのかも記されている。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
オヤスミナサイ☆|)彡サッ