金属アレルギーなOLの業務外報告

全てのストレスを受け流し、気ままにゆるく生きる意識低めなOLの雑記。

乱れた心を落ち着かせたい時に読む本【博士の愛した数式】著者:小川洋子


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※この記事は2018.7.25に加筆・修正をしています※

GWに、実家の本棚を少しだけ整理しました。その時に発掘した積ん読本の中に、この1冊を見つけたのです。

悲しい出来事があって心が乱れていた私は、約10年の積ん読期間を超えてこの本に惹かれました。

【博士の愛した数式】著者:小川洋子

実家の部屋に置いてある本なんて、一体何年前に買った本だろう?私が実家に住んでいたのは相当昔のこと。この本を買った記憶さえもうないくらいです。

映画化されていたのは記憶にありますが、映画は観てていないし、あらすじさえ知りませんでした。

当時古本屋をウロウロしている時に、映画化された話題の本を安く見つけて、そのうち読もうと買っておいたのだと思います。

10年近く実家の本棚に埋もれていたこの本。

今思えば、突然発掘したのはあの日の為の運命だったのかもしれない。

綺麗な言葉が並べられている本だった。いや、綺麗に言葉が並べられているのかな。

悲しみで心が乱れていた私を、静かに癒やしてくれたのです。

【博士の愛した数式】あらすじ

瀬戸内海に面した小さな町。その町の、あけぼの家政婦紹介組合に登録している家政婦さんが出会った【博士】とのお話。

面接のため新しい派遣先の家を訪れると、対応に出てきたのは、上品な身なりの老婦人であった。

『世話をしてほしいのは、義弟です』

彼女は言った。

『特別にややこしいお仕事をおねがいしているわけではありません。月曜から金曜まで、午前十一時に来て、義弟にお昼を食べさせ、部屋の中を清潔に整え、買物をし、晩ご飯を作って夜の七時に帰る。たった、それだけです』

それから、家政婦と、老婦人の義弟と、家政婦の息子との日々が始まった。

私(家政婦)と息子は、彼のことを【博士】と呼んだ。そして博士は息子を、【ルート】と呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。

【ぼくの記憶は80分しかもたない】博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた。記憶力を失った博士にとって、私は常に『新しい』家政婦。毎日が『初対面』。きっちり、一時間と二十分。

博士の袖口にメモが増えた。【新しい家政婦さん と、その息子10歳 √】

買物に出かけても、急いで帰らなければならない。きっちり一時間と二十分で、博士は全てを忘れてしまうから。また『初めまして』になってしまう。一緒に食事をしても、数字について語り合っても、ルートの宿題をみてくれても、皆で野球観戦に行っても。全ての記憶は蓄積されること無く。明日になれば『初対面』からやり直し。

それはあまりに切ない日常生活。

記憶の蓄積

不謹慎かもしれないけれど、なんだか動物との暮らしに似ていると思ってしまった。

偶然にも、8年間共に暮らしていた家族が亡くなってしまった前後に読んでいたわけで。その記憶の短さは、寿命の短さに似ていると思った。記憶が長い、つまりは寿命が長く生き残っている方は、ただ一方的に想い出を慈しむ事しかできない。決して共有することは出来ないという現実。それはとても儚く、ただひたすらに愛おしいものなのかも知れない。

描写の美しさ

この小説は、数学について詳しくなくても勿論読めます。私もその一人だし、むしろ数学なんてわからない方が、家政婦の心情を理解しやすい気がします。

懐かしい数式や、ストーリーの繊細さもあるけれど、何よりも言葉が美しいのがこの本の良いところです。小川洋子さんの作品は、みんなこんなに綺麗なのかな。

間違いなく日本のとある小さな町でのお話なのに、なんだか遠い海の向こうの外国の物語を読んでいるような錯覚を覚えました。まるで子供の頃に読んだおとぎ話のようです。

カーテンがなびくたび雨が吹き込み、二人の素足にかかった。彼が言うとおり、ひんやりとして気持ちよかった。もうどこにも太陽の気配さえなく、消し忘れた流し台の明かりだけがぼんやり中庭を照らしていた。木々の間に隠れていたらしい小鳥たちは飛び去り、絡み合った枝はうな垂れ、やがて目に映るすべてのものが雨に覆われていった。土の溶けてゆく匂いがした。雷鳴は少しずつ近付いてきた。

辛いことがあった時、疲れている時や泣きたい時。そんな時に心を癒やしてくれる一冊です。そんな本が、本棚に一冊くらいあってもいいですよね。  

映画【博士の愛した数式】

不慮の交通事故で、天才数学者の博士は記憶がたった80分しかもたない。何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を持ち出す。それが、他人と話すために博士が編み出した方法だった。博士のもとで働くことになった家政婦の杏子と、10歳の息子。博士が教えてくれる数式の美しさ、キラキラと輝く世界。母子は、純粋に数学を愛する博士に魅せられ、次第に、数式の中に秘められた、美しい言葉の意味を知る―。

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そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

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