似たような本にばかり引き寄せられるのは、やはり好みの問題か…?
読んだことのない作家さんばかりだったのですが、宮部みゆきさんがいたので手を出しました。少なくとも1つは絶対面白いはず!と。
当たり前ですが、読めば他にも面白い物語がありました。
色んな作家さん試し読みという意味では、短編集もよいですね。
【アリス殺人事件】はミステリーのアンソロジー
表紙可愛いね。(●´ω`●)
世界で愛読される『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をテーマに、人気ミステリー作家・有栖川有栖、宮部みゆき、篠田真由美、柄刀一、山口雅也、北原尚彦が紡ぐ6つの物語。事件から事件へ、現実と異世界を自在に行き来する、ユーモアと不思議が溢れるアリスの世界へようこそ。
もうね、いい加減『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を買おうかと思っています。そもそもなんで手元に無いんだっけ??
1.【ジャバウォッキー】著者:有栖川有栖
「凶器はどこに捨てた?」
「………」
「虹の色の血管。どくどくと流れる大動脈の果てに見る、觔斗雲の世界一の鍵穴。それを抱くアカの底――だっけ? 詩人だね」
ワタシにとっては初の有栖川有栖さん作品。美しい言葉は大好きで、もうこれだけで好きになりそう。
そもそもジャバウォックとは、『鏡の国のアリス』に出てくる架空の生物で、一説には『言語の混沌』を象徴するとも言われている。いきなりこれをメインに持ってくるとは…。
いずれにしろ、言葉遊び・暗号解読系の物語と相性抜群なのは間違いない。
作中に出てきた【火村英生】という名前を見て、反射的に斎藤工さんが思い浮かんだ。そうか、あのドラマは有栖川有栖さんの小説が原作だったのか…(ドラマは見てないけどCMを何度も見た)。
個人的に1つ残念なのは、舞台が大阪なこと。ワタシは関東人なので、立地がわからず、車をぶっ飛ばしているシーンも、情景をまるでイメージできないww
2.【白い騎士は歌う】著者:宮部みゆき
探偵事務所で蓮見加代子嬢とコンビを組んで働く、元警察犬・マサから見た、とある事件のお話。
ある会社の社長が頭を強く殴られ殺された。金庫からは保管していた現金、約千二百万円が消失。凶器には宇野敏彦の指紋が残っており、彼は事件後、行方不明のまま。
そんな敏彦の姉・友恵が探偵事務所にもってきた依頼とは…?
俺たちは車のそばまで戻っていた。奥村はまた、「いい?」という顔で助手席のドアを指す。加代ちゃんはうなずいた。
だが、彼がドアを開けたとき、俺は一足先にさっと助手席にすべり込んだ。
おまえさんは後ろに乗りな、若いの。
加代ちゃんがくすくすと笑った。
「マサという名前よ。わたしの相棒」
奥村は後部座席に乗り込んで、言った。
「嫉妬深い相棒だね」
犬の目を気にする人間はいないし、犬の耳や鼻を気にする人間もいない。
マサにしか見えない、真実もある。
事件の裏に隠されていたのは、悲しい現実だった。
3.【DYING MESSAGE《Y》】著者:篠田真由美
ネットで知り合ったEmiに恋するヒロ。クラスメイトには『ネットおかま』だとバカにされつつも、ついにEmiと会うことに。
ヒロに頼まれ、Emiとの対面に付き合うことになったカズミ。演劇の本番前夜、夜間の学校で、Emiの一人芝居を一緒に鑑賞することになったが、思いもよらない事件が起こる…!
残されたメッセージは、《Yが殺す》―――!
4.【言語と密室のコンポジション】著者:柄刀一
出会う時には出会うもんですねぇ。メタミステリ。
懐中時計をぶらさげた、真っ白な猫は言う。
「密室殺人をほんの一つ解決してもらいたいだけですから」
「ああ、遅刻する!忙しい、忙しい」
「失礼だが」宇佐見博士は重ねて言った。「そういう台詞(セリフ)はウサギにこそ似合うのではないかな」
すると猫は、眉―どこが眉だかはっきりしないが―をひそめて不平を返した。
「あたなが『猫』と描写するからこうなってしまったのではないか。それを棚に上げて、不調法に」
字義が、【文字どおり】そのまま現存する純粋原理の世界では、現実ではありえない事象が次々おこる。そんな不思議な世界で、密室殺人を行うトリックとは!?
5.【不在のお茶会】著者:山口雅也
読者の思い描く情景を操る技術が巧みだなぁ…と、読み始めてすぐに感服させられたのがこちら。
今回のお茶会の参加者は、帽子を被った植物学者、3月生まれの作家、眠そうな精神科医の3名と、まだ見ぬ不在の”誰か”です。
『アリスのお茶会』と言えばもはやお馴染みのメンツである、狂った帽子屋・三月兎・眠りネズミが一瞬で思い浮かぶと思います。不思議の国の不思議なお茶会がイメージできれば、あとは”結末”に向かって突き進むだけ。
ふと気付けばそこにいた茶会の席。《私》が《私》ではない感覚。3人の記憶にそれぞれ残る、不思議な少女との出会い。
果たして、《私》とはなんなのか?このお茶会から抜け出す方法は―??
6.【鏡迷宮】著者:北原尚彦
舞台上で演じられる『鏡の国のアリス』。しかし本番のさなか、妙な違和感が。リハーサルとは、何かが違う…??
主役を勝ち取った貴重なチャンス。絶対に成功させたい舞台の本番で、観客の目の前で、不思議の国への通路が開く。
収録されている6作品の中で最も短い本作ですが、トリにピッタリの物語でした。
アリスの世界観がぎゅっと濃縮されて、王道を駆け抜けた後、綺麗に終わる。
パロディとしての完成度が高く、そのせいか読後感が爽やかでしたw
【アリス殺人事件】を読んだまとめ
ルイス・キャロルの【不思議の国のアリス】が読みたくなる。
これに尽きます。
それから、本書の解説ではかなり沢山の【アリス関連小説】が紹介されていますので、そちらも読みたくなりますね…。
不思議の国のアリスが好きなワタシにとっては、中々味わい深い一冊でした。
そう言えば映画も観たかったのに結局まだ観てないや。
時間がいくらあっても足りませぬ。。。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れ様でした!